片桐俊太郎・助教授の「信念」

今回はちょっと「軍人の道は一本道」の記事とは違う感じのエントリーです。
私自身が思うことがありまして・・・。

「片桐俊太郎」ときいて、ピン!と来た方はいらっしゃるでしょうか?
おそらくほとんどいないのではないでしょうか。

「片桐俊太郎」さんは、1994年(秋)~95年(春)まで放映されたドラマ『私の運命』に登場する、
大学病院の優秀な外科医で、佐野史郎さんが演じられた役名です。
「白い巨塔」をほうふつとさせるようなストーリーです。





このドラマの主演は坂井真紀さんでした。
さらに常盤貴子さんが女優として開花するきっかけでもあった作品でした。

☆主要キャスト☆ 
※ここでは章姫の独断と偏見によって、順番を変えます。

○片桐俊太郎(佐野史郎)

東洋医科歯科大学助教授。
「大学病院の存在意義は、研究とトライアルにある」と信じ、
患者を実験台にすることもいとわない強引で冷酷なタイプ。

○佐藤守(段田安則)

東洋医科歯科大学助手。片桐とは医学部時代からの同級生。
片桐とはタイプは逆で、患者中心主義。
実は血の繋がっていない妹・佐藤千秋(坂井真紀)を愛している。
のちに、片桐の愛人であった後藤里美(常盤貴子)と結婚し、教授にも昇進するが・・・。
最終的に、自身が医学部教授に不適任と思い、患者に向き合うため大学を辞める決心をする。

○鈴木次郎(東幹久)

東大卒のエリート社員で、佐藤千秋の婚約者。後藤里美とは高校時代つきあっていた。
ある日会社の健康診断で肺がんが見つかり、東洋医科歯科大学で片桐の手術を受ける。
その際「キジマリン」なる薬の副作用もあったせいとされ、千秋と結婚後3カ月で亡くなる。

○鈴木真理子(野際陽子)

次郎の母。次郎を溺愛し、千秋のことも自分の子のように可愛がっていた。
次郎が亡くなったのは、片桐の無理な手術のせいだと思い込み、
病院に乗り込んで片桐を刺す。
その後の取調内容がマスコミに流れ、片桐は地方の医院に左遷させられる。
裁判では執行猶予となったようである。
次郎の死後は、千秋と、千秋と次郎との間に生まれた子・昇とともに暮らす。

○重村武(佐々木勝彦)

東洋医科歯科大学教授。鈴木次郎に「キジマリン」投与を承認したものの、
片桐にその責任を押し付け、自分と、自分に従順な弟子(本間・中川)を守った。
東洋医科歯科大学のイメージ克服のため、患者中心主義の佐藤守を助教授・教授にした。

○鈴木(佐藤)千秋(坂井真紀)

郎との間に昇を産む。次郎との結婚生活は3カ月で終わった。

○佐藤(後藤)里美(常盤貴子)

かつては片桐の愛人であったが、佐藤守と結婚。
佐藤守の援助でかつて果たせなかった医学への道を再び目指すも夫婦仲はよくない。
片桐を尊敬し、慕っていたが、一方では佐藤守のよい面も受け止めていた(と思う)。
佐藤守と離婚する際、「オレと片桐のよい面を合わせた医師となってくれ」と励まされる。

・・・スミマセン。たかだかドラマなのに、人物説明が長くなりました。
それぐらい、人間関係が複雑なドラマで、人によっては「疲れる」かもしれません。
私はこういう「複雑」ドラマに嵌ると一生懸命見て疲れきってしまうタイプですが、
今でも印象に残っているぐらいのものです。

登場人物を、簡単に「善玉」「悪玉」に分けられないのがいいのです。

なぜ、このドラマを取り上げようと思ったのか?
偶然、今になっちゃっただけです!」(田母神空将的な言い方ですね)


世間からバッシングを受けた時の身の処し方について、思うことがあったのです。

世間からバッシングを受けた時の身の処し方って、結構後に響いてくるものですよね!
例えば、田母神空将の場合(平成20年10月31日)はどうだったでしょうか?

この日、官舎に人を招いていたため、早めに帰宅された田母神空将は、
ご自分が更迭されるらしいと知りました。
官舎の周囲にマスコミが集まり騒然となってしまったのですが、
その時どのような行動をとられたのか?

田母神空将は、「とりあえず、近所迷惑になったらいけない」と思われたらしく、
一度官舎の外に一人で現れ、記者の質問に答えようとされました。この写真です。

画像



※マスコミと、街宣している団体は、ある意味「騒音レベル」は同じぐらいなのに、
マスコミはバッシングされず、街宣団体は世間から批判的にみられるという
「理不尽」があると思います。

今回の防衛大学校開校祭の時の五百旗頭真校長の態度と、
その後の周囲の反応からそのように感じました。



五百旗頭校長が、「返答する」と約束していながら、それを反故にする態度をしたから、
街宣になったのだと私は思います。
せめて、この片桐助教授ぐらいの態度で出てほしかったと思います。学者として。

また、このドラマの中の重村武教授のような上司も現実にはいる、
ということも知るきっかけにもなるでしょう。

何も旧陸海軍や自衛隊だけでない、企業にも学校にもいるでしょう

重村教授のような人間の生態もまた「学ぶ」ことができる、
よい教材でもあると思っています。

この「片桐助教授」は、結局、患者に無理な手術をしたという全責任を重村教授からとらされ、
地方病院に左遷されます。






2クール目の最後らへんで、今度は、かつて死なせた鈴木次郎と、千秋の子・昇がガンに冒されていることを、自分の代わりに教授となった佐藤守から知らされます。結局、佐藤守の願いを聞き入れ、再び手術のために大学病院へとやってきます。その手術は、実は鈴木次郎の時の「失敗例」が活かされた形で成功します。
そのお礼を佐藤守が言いに行った時、片桐は「実は肺がんなんだ」といいます。
「そのオペを頼みたい。」「残念ながらお前ほどの技術を持った医師はうちにはいない」

僕は外科医だ。保存療法で生き延びるより、術中に逝ってしまった方がいい

「人体実験じゃないか」

佐藤、君の頼みだって聞いてやったんだ。

僕の頼みだって聞いてくれたっていいじゃないか?

こんなこと頼めるのは、君とこの病院だけなんだよ・・・


結果は、片桐の思う通り、「術中に最期を遂げた」形となりました。

佐藤守が、自室にこもっていたとき、看護婦が一通の手紙を持ってくる。
それには、学生時代の写真とともに手紙が・・・。

学生のために献体してほしい。葬儀は無用。ありがとう。佐藤守殿」と・・・。


私は、「佐藤守」という名前を聴いたのは、実はこのドラマが初めてでした!

「佐藤守」といえば、
元南西航空混成団司令・佐藤守空将」ですが、
私にとって。
偶然といえば、偶然ですね。
佐藤守閣下と同じ名前の役名の方がいらしたなんて!

佐藤守空将がもし外科医ならば、
きっと「術中に逝ってしまった方がいい」と思われるタイプなのかも?
(片桐タイプ?)と思いましたが、どうなんでしょう?


以前聴いた講演中に、特攻隊の話になった時、
「こういうのがあったら、真っ先に志願してたでしょうね!
・・・こういうことを日々戦闘機乗りとしてやっていたのだから」

とおっしゃっていたことを思い出します。

戦闘機乗り(他の軍人も)もお医者さんも共通するのは、

死と隣り合わせ」というところではないでしょうか?
訓練を受けていない人にはわからない、

血の匂いを嗅ぎ取る」感覚をもつ傾向があるように思います。

戦闘機乗りになるまでの大変さについても、以前の講演の時に話してくださいました。

私などには、話は聞けても、最終的には理解できない「何か」があると感じさせられました。

そんなところで、片桐助教授的な生き方や信念を持つ人物は、
確かに「アク」はあるのだけど、尊敬もされるという側面もあるのではないでしょうか?

☆ついでに、佐藤守・田母神両空将と、段田安則さんの顔の輪郭が似ている!と思ってしまいました。
特に田母神空将のこの表情!何かの縁?

画像


ついでに、携帯の「写メ」で撮影したあと、
フレーム(沖縄時代のものだから、「ハイビスカス」)もつけてみました!

画像



最後に、「軍人の道は一本道」的な締め方を・・・。


寺井義守・海軍中佐(戦後は海上自衛隊・海将)が娘婿・佐藤守空将に語った言葉

「軍事と外交は車の両輪。
そのどちらかが欠けても国家機能は麻痺する。
特に文官には軍事という究極の事象は決して理解できない。

それは片や『ペン』で、片や『刀』で育ってきたからで、

彼らに血の匂いを嗅ぎ取る『動物的嗅覚』を求めても無理がある

そこを軍人がしっかり補佐しなければならないのだ

(佐藤守「大東亜戦争は日本の侵略戦争ではなかった!」『月刊日本』2005年8月)

深い言葉だと思います・・・。
私たちは、最終的には「血の匂い」を嗅ぎ取るのが苦手な国民でもあることを
自覚しないとならないと思います。

この本を読むと考えさせられます・・・。


穢れと茶碗―日本人は、なぜ軍隊が嫌いか (ノン・ポシェット)
祥伝社
井沢 元彦

ユーザレビュー:
非武装主義者=職業に ...
軍隊嫌いは「穢れ(ケ ...
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この記事へのコメント

うさぎの耳
2009年11月28日 11:54
おはようございます。

力の込めたエントリーですね。ありがとうございます。

>彼らに血の匂いを嗅ぎ取る『動物的嗅覚』を求めても無理がある。

仰るとおりです。「血の匂いを嗅ぎ取る」のは常に生死への感性を磨かないと無理だと思います。

お医者さんは、日常的に生死の実際を見ているから、軍人・自衛官は敵兵を殺し、同時に敵兵に殺されることを知るからこそ「血の匂いを嗅ぎ取る」ことができるのだと思います。
2009年11月28日 22:21
今回のエントリーを評価してくださって、本当に感謝です。また、佐藤守空将のお義父さま・寺井義守海軍中佐に感謝です。
>お医者さんは、日常的に生死の実際を見ているから、軍人・自衛官は敵兵を殺し、同時に敵兵に殺されることを知るからこそ「血の匂いを嗅ぎ取る」ことができるのだと思います。

そうなのでしょうね、と「思いめぐらす」ことだけでもと思います。片桐助教授の「独断」ということで、大学病院側は「処理」したのですが、この「独断」と「処理」についての評価が難しいと思いました。これって、戦史研究にも言えると思います。「一部軍人の独断と専行」で思考停止状態に陥っていないだろうか?悪くいうことなら簡単だけど、次に活かすという視点がなければよい方向にはならないのでは?と思います。そういう意味で、片桐助教授的な方が指揮官だと、一見冷酷そうに見えるけれど、部下としては安心できる部分があると思います(かえって段田さんが教授になった時の方が研究室の空気が悪かった。「いい人」なんだけど・・・)。戦闘機乗りが一人前になるには、何度も選考があり、厳しい訓練があり・・・またコストもかかるのだけど・・・。それが必要であることが政治家も理解できてないなかで現実として実施するしかないという現状なのに・・・と思います。今回、医師と軍人の世界の共通点を見出すことが出来たのは私にとって収穫でした!
うさぎの耳
2009年11月29日 07:31
章姫様 おはようございます。

>戦史研究にも言えると思います。「一部軍人の独断と専行」で思考停止状態に陥っていないだろうか?悪くいうことなら簡単だけど、次に活かすという視点がなければよい方向にはならないのでは?と思います。

「独断と専行」という言葉で思考停止されているのが現状ですね。「反省」だけで終わってしまっています。戦争を起こさないようにするにも、起こった場合にかつためにも「独断と専行」で思考を止めてはいけないと思います。

「生きていられるのが当たり前」のようについつい思いがちですが、むしろ人は「死」の方が日常にあるのでは?と思います。

必ず来るものであり、避けられないもの、また思ったよりも簡単に訪れるもの。

だからこそ、命を大切にしたいですね。
2009年11月29日 21:31
うさぎの耳様
こんばんは
>「独断と専行」という言葉で思考停止されているのが現状ですね。「反省」だけで終わってしまっています。
やはりそうですか・・・。片桐助教授が左遷されるのは、当時の大学病院側の処置としては仕方のないことではあるけど、片桐がしたことの中にも得られるものはないか?と自由に思いめぐらすこともできるはず・・・。これも戦史研究にあてはめれば、当時の「独断と専行」事例で処断された方のやり方にも学ぶことができるはずだし、本当に自由にあらゆる方向から考えるのは後世の人間の仕事のはず。
>命を大切にしたいですね
本当にそうですね。危機が起こったときに慌ててないよう、日常を大切に・・・なんでしょうが。じゃあ、少しでも自衛隊を身近なものにということで広報センターをつくり見学者を集める。一つの手ではあるけれど、ハコものを作るお金があれば、本当に必要なことに使っていただきたいと願います。それは目に見えないもの(情報)が多いのでわかりにくいのかもしれないけど、その積み重ねが日本を守ることにつながると信じています。その情報を見分ける能力を持っている人を大切にしてほしいです。これまた「動物的感覚」という目に見えないものだから難しいことでしょうが。
ナポレオンでしたか?戦争中に自分のいうことを聞かなかった指揮官を、「お前のやったことは評価するが死んでもらう」ということで殺害したのは。軍人にせよ医師にせよ、自分のしたことで職を追われるという覚悟で事に当たるもの。でもそのことをあらゆる面から自由に見られるという特権を私たちは放棄してはいけないと思います。
うさぎの耳
2009年12月18日 13:19
こんにちは。

日本海側は大雪で毎日、雪かきです。

>軍人にせよ医師にせよ、自分のしたことで職を追われるという覚悟で事に当たるもの。

そうですね。単に制服や白衣を飯の種にしてしまう人もいますが、本来はそうです。

 特に指揮官といわれる人は重大な責務を2つ負います。
 一つ目は国家から命じられる任務遂行の責務です。戦争目的を達成するために組織や人員を最大限活用することです。
 二つ目は部下の生死の結果に対する責務です。任務遂行といっても徒に兵士を損なうことは許されません。同時に無闇に愛するのも避けないといけません。

どちらも難しい責務ですが、指揮官である以上負わないといけないのですから、指揮官はつくづく大変だと思います。
駒澤特急
2009年12月22日 16:11
佐野史郎さんと段田安則さんの場面を見て、自分は『インテリの佐野史郎』と『ダンディな段田安則』の様な雰囲気がしていました。常盤貴子さんの印象を見て、自分が好きな女優である黒川智花様をイメージした感じに見えました。
2009年12月22日 20:37
うさぎの耳さま
毎日寒いですね・・・。大雪ならば来年は豊作になるといいですね。田んぼの神様が見守ってくれますよ!
>指揮官といわれる人は重大な責務を2つ負います
ただ、その責務の部分を読むと「へぇー、そうなんだ」となってしまうのですが、そこを一歩踏み込んで見ると、私のような者が普通に暮らしている中で、自衛官のある方は「修羅場をくぐっている」思いをされていることを忘れてはならないと思っています。自分の判断によって損害を出し、腹を切る覚悟で当たっているのだと。平時であっても。そんなことを知る機会に恵まれてます(勉強不足ですが)・・。
2009年12月22日 20:42
駒澤特急さま
初めまして。
佐野さんと段田さんの場面を見てくださったのですね。常盤貴子さんはこのドラマで佐野さんの影響を受けたとあとで言われていました。役者さんたちはきちんと演技していると思いました。段田さんは2クール目から髪型と眼鏡が変化してますね。教授になったという設定なので
ダンディに見せるようにしていたのでしょうね。

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